8匹目のやわらかこいぬ

ときわです。


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預かり宅では初の、多頭飼育崩壊現場から来ました。このため、生年月日やある程度の血縁関係が判明しています。


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生年月日は、平成27年5月23日。

お母さんは、現在ちばわんで募集中のチャーチルちゃん。兄弟は、現場に残っているコを除いては、既にちばわんを卒業した、つむじ・橙・ゆきおちゃんです。


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体つきは全体的にふっくらとしており、毛並みもふんわりしています。目が丸く、目つきは素直で、動きが全体的にスローなので、タヌキを連想させます。


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タヌキ顔のかわいこちゃんですが、現時点での最大のポイントは、ときわは野生のタヌキのイメージに近い、ということです。


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こちらが穏やかな態度でじっとしていると、このように近くに寄って来て、私を観察しています。

でも、動いたり、真っ正面から見つめたり、話しかけたりすると小走りでバリケンに逃げ帰ります。

まるで、ときわがいないように振る舞えば、通りすがりにお鼻をツンとこちらの足に付けたり、家事をしながら移動する私の後を追っかけて来ます。

だけれども、いわゆる犬好きのヒトがやるように、名前を呼びながら真正面から近づいて撫でようとすると、ピーッピーッと悲鳴をあげ、震え上がってしまいます。それでもやめないと、怖すぎてお漏らししてしまいます…。ビビリションというやつです。


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緊張すると、ご飯も食べられず、お水も飲めません。ひたすら世界を拒絶しています。

どうしてなのかしら…と、真正面から対峙すると、ヒトの緊張感が伝わってしまいます。


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そうではなくて、大らかな心持ちで、あら?食べたらなかなか美味しいと思うわよ、あなたの食べたいときで良いんだけどね、と忙しく立ち働いていると、そうかも?と胃の蓋も緩んで完食しますし、バリケンから出て来てヒトの様子を観察する余裕が出ます。


社会経験が圧倒的に不足しているため、知らないことが多く、新しい経験を怖いと感じるからです。


ときわは、生まれてこのかた、いわゆる普通のワンコがしてもらうような、お散歩とか、草木や風の匂いを嗅いだりとか、およそのワンコや飼い主さんとの交流とか、が無かったようなのです。 

ずっとお家の中で、親兄弟と暮らしてきました。


きっと、ときわは、それ以外知らないし、そういうものだと思って暮らしていたのでしょう。

そこへ知らない人が来て、バリケンに入れられて車に乗り、全然知らないお家・見たことのない人・親兄弟ではない、姿形の違う犬を見て、とってもショックだったのだと思います。


このショックを咀嚼するのに時間を要し、今日ようやく病院へ行かれました。


預かり宅には、配慮ある運搬ボランティアさんのお世話になり、8月14日に来ました。

普段は、すぐに獣医師に診てもらうのですが、来た晩にシャンプー2度洗いした私をオニと認識したらしく、私から逃げ惑う日々がありまして…、ほぼ2週間かけて見慣れていただいたという訳です。


元飼い主さんは、多頭のあまりに、ときわに必要な経験を積ませてやれず、飼い続けられなかったけれど、できることは努力してやっていたのだと思います。病院での健診等で、フィラリアは陰性で、お腹に虫もおらず、痩せてもいなくて毛並みも良く、健康状態が良好だ、という事実があるからです。


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かわいいんですよ。ふにゃーっと寝ている様子なんか。なんか、サンリオキャラのカピバラちゃんにも雰囲気が似ていますかね?


でも、怖がらせないよう、絶対に焦りは禁物です。


ときわの様子を見ながら、少しずつ距離を縮められる根気の良さがあり、大らかで広い心の持ち主で、かつ安全対策は万全に行うような着実性のある飼い主さんに向いています。


時間がかかっても、ときわの信頼を勝ち得ることのできるご家族がきっとどこかにいるはず、と、預かり宅で焦らずたゆまず、小さな一歩を積み重ねて参ります。


小さな進歩を、我が事のように喜ぶご家族との出会いがありますように。